気がする。

板に乗ったり買い物したり本読んだり子育てしたような気がする。

ただ波に乗る Just Surf―サーフィンのエスノグラフィー を読んだ感想

2020年最後に読んだ本はサーフィン×ジェンダーに関する本。これは今年読んだ中でハッとさせられたランキングではぶっちぎりで1位な気がする。

社会学の大学院生だった女性の著者がサーフィンにハマっていって、その過程で経験したサーファーの間に無意識に共有されている男性中心の考え方、ローカリズム等々を明らかにしていく本。最初の章はいわゆる論文的な他の関連研究と今回の取り組みの意義や新規性を述べているので、少し読みづらいかも。その後の章はサーフィンにハマってから、どのような経験を経てサーフィンを続けていったのか時系列で、いわゆるエッセーみたいな形で書いてあるので、そこからが本編、という感じ。読みながら、終始、あるあるーー確かにーーと、なりながらあっという間に読んでしまった。

僕は大学院生の時にサーフィンをはじめて、奥さんは社会人になってから一緒にはじめて、お互いそんなに運動がすごく得意というわけでもなく、どちらかというと文化系マインド。そんなこんなでのらりくらりとサーフィンをしてきた中で、なんとなく感じてきたちょっとした違和感というか、なんか価値観合わない人いるな~みたな感情を綺麗に明文化してくれている本だと思う。 ローカル、技術的にうまい人、ショートボードがヒエラルキーの上位などなど...

そんな価値観の中で、著者なりのサーフィンとの付き合い方を見つけていく過程がすごくリアルで、自分も、自分なりの付き合い方でいいんだな~と思えたのも収穫。

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こういういわゆるジェンダーとかアンコンシャス・バイアスみたいな話って最近は職場ですごく注目されてきて、いろんなケースが明文化されていて意識もするけど、それが趣味の世界になるとあんまり注目されないし、なんとなく触れなくてもいいような空気があるような気がする。だけど、普段の生活って職場だけじゃないし、趣味の場だからこそ、多様な人を受け入れられるような社会を作っていくべきなんじゃないかなあ。

好きなトピックでハマっているからこそ、今までは意識しなかった切り口で見返してみると、いろんな気づきがあるかもしれない。少なくとも自分はこの本を読んで、自分が無意識に、いわゆる従来のサーファー的な価値観を持ちはじめていることに気づいたし、その上で、それをちょっと修正して、いろんな人を受け入れるようなサーフィン文化を少しでも作りたいと思うようになった。